EAを口座に入れる前、販売ページや解説記事の目安がバラバラで、手持ちの資金で足りるか迷っている人に向けた記事です。
必要な証拠金(=取引のために口座に置くお金)はEAごとに異なります。判断の起点は、過去データでEAを動かしたときの最大の落ち込みの円額です。
この記事では、次のことが分かります。
- 必要な資金を考えるときに見る数字
- 10万円の口座で強制決済が起きるまでの経過
- 自分のEAに必要な資金を見積もる手順
ZEN AI LABでは、同じ無料ゴールドEAを同じ0.01ロット(=1回の取引量)に固定し、資金4通りを5期間に分けて合計20本を検証しました。読み終えたら、自分のレポートにある「最大の落ち込み」の円額を入金予定額と比べられます。
この記事は、過去データを使ったMT5のストラテジーテスター(=MT5のバックテスト機能)による結果です。将来の成績を示すものではなく、投資の助言でもありません。広告や紹介リンクはありません。XMTradingとの紹介契約はありません。ZEN AI LABは、EAの検証レポートをnoteの有料マガジンでも出しています。
EAに必要な資金は、そのEAの最大の落ち込み(円)から考える
EAの資金を見積もるときは、自分が使うEAの「証拠金最大ドローダウン」を確認します。これは、確定した損失と含み損(=保有中の取引で出ている損失)を含む、有効証拠金(=残高に未確定の損益を足した額)のピークからの落ち込みです。レポートには円額と割合が表示されます。
0.01ロットに固定した今回の検証では、資金を変えても落ち込みの円額はほぼ同じでした。資金が少ない口座ほど、同じ落ち込みを受けた後に残る金額が少なくなります。ただし、落ち込みが来る前に利益が出ていたかでも結果は変わるため、円額だけで必要資金が確定するわけではありません。
外部記事にも資金の目安があります。GMOのEAONLINEの記事は、2024年5月27日の記事で50〜100万円程度を準備する目安と、最大ドローダウン(同記事では、一番資金が減ったときの谷の深さ)を資金の15〜20%に収める考え方を示しています。
GogoJungleの投資ナビ+の記事は、2020年1月16日公開・2021年4月8日更新の記事で、必要証拠金に最大ドローダウン(同記事では最大含み損・0.1ロットあたり)の2倍を足す計算方法を紹介しています。金額や式をそのまま採用する前に、自分のEAで生じた落ち込みの円額を確かめる必要があります。
今回のEAについては、作者が商品ページで最低資金を$1,000+、口座タイプをStandard、時間足をM15と案内しています。FX VERIFY LABが2026年9月12日に確認した内容です。
同じEAを資金だけ変えて5期間回した
対象は、MQL5 Marketで無料公開されているゴールド用EA「XAUUSD 5 minute」です。検証時のバージョンは7.3、作者はBranislav Bridzik / Bridzik Technologies s.r.o.です。配布されているのはコンパイル済みのファイル(.ex5)だけで、売買ルールは公開されていません。
検証条件は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 検証機能 | MT5のストラテジーテスター(=MT5のバックテスト機能) |
| ブローカー・銘柄 | XMTradingのMT5・GOLD(金/米ドル) |
| 時間足 | 15分足(M15) |
| 値動きのデータ | Every tick based on real ticks(実際の値動きのデータを1つずつ使う方式)・ヒストリー品質100% |
| レバレッジ・口座通貨 | 1:500・円 |
| EAの設定 | 初期値のまま。Entry_Amount=0.01、Use_Swing_SL=true |
| 取引量 | 1回の取引量を0.01ロットで固定 |
| 検証期間 | 2025年7月3日〜2026年9月11日(約14.3か月) |
| 資金 | 10万円・30万円・50万円・100万円 |
| テスト数 | 4通り×5期間の合計20本 |
全期間を約3か月ずつに分け、各期間をその資金で新しく始めた口座として別々に回しました。5期間は、2025年7月〜10月、2025年10月〜2026年1月、2026年1月〜4月、2026年4月〜7月、2026年7月〜9月11日です。
10万円の口座だけ、17日後に強制決済された
2026年4月3日〜7月3日の期間では、10万円の口座だけが途中で強制決済されました。ロスカット/強制決済とは、口座の余裕が一定以下になったときに、業者が保有中の取引を自動で決済することです。
| 資金 | 4月20日 01:02の損切り直後の残高 | その後 | 最大の落ち込み |
|---|---|---|---|
| 10万円 | 7,500円 | 同日04:53に強制決済(15回・約定30件) | 100% |
| 30万円 | 207,008円 | 最後まで回った(138回) | 40% |
| 50万円 | 407,500円 | 最後まで回った(138回) | 25% |
| 100万円 | 907,500円 | 最後まで回った(138回) | 12% |
時刻はMT5のサーバー時刻です。最大の落ち込みは、レポートの「証拠金最大ドローダウン」に表示された割合です。
2026年4月20日 01:02の損切り直後、期間の始めから減った額は、どの口座も92,500円〜92,992円でした。同じ0.01ロットで取引したため、減った額はほぼ同じです。残高は10万円の口座が7,500円、30万円が207,008円、50万円が407,500円、100万円が907,500円でした。

10万円の口座では、次の順に残高が変わりました。
- 2026年4月9日、最初の3つが損失で決済され、残高は100,000円から86,902円へ13,098円減りました。
- 2026年4月14日、0.01ロットのポジション3つが同時に損切りされ、残高は86,902円から47,077円へ39,825円減りました。
- 2026年4月17日、3つが決済され(2つが勝ち・1つが負け)、残高は49,032円に戻りました。
- 2026年4月20日 01:02、3つが同時に損切りされ、残高は49,032円から7,500円へ41,532円減りました。
- 同日04:53、証拠金維持率10.24%で強制決済され、最終残高は469円になりました。
証拠金維持率は、口座の余裕の割合です。期間が始まってから17日後に強制決済され、この期間の純損益は−99,531円でした。それまでの取引は15回(約定30件)で、勝ちは2回です。約定は、ポジションを持つときと閉じるときにそれぞれ記録されます。レポートの「最大 負けトレード」は−15,083円でした。
30万円・50万円・100万円の口座は、同じ期間を最後まで回りました。取引は138回(約定276件)です。純損益は30万円が+100,841円、50万円と100万円が+102,343円でした。
強制決済されなかった期間でも、10万円の口座はレポート上の落ち込みが8割を超えた
10万円の口座について、各期間の「証拠金最大ドローダウン」の割合を並べると次のようになります。
| 期間 | 最大の落ち込み |
|---|---|
| 2025年7月〜10月 | 85% |
| 2025年10月〜2026年1月 | 81% |
| 2026年1月〜4月 | 28% |
| 2026年4月〜7月 | 100% |
| 2026年7月〜9月11日 | 73% |
強制決済が起きなかった期間にも、85%や81%まで落ち込んだ期間がありました。これはMT5がピーク時の有効証拠金を基準に計算した割合で、入金額を基準にした割合ではありません。
2025年10月〜2026年1月の最大の落ち込みは、10万円・50万円・100万円の口座が135,339円、30万円の口座が135,703円でした。レポートに表示された割合は、10万円が81%、30万円が37%、50万円が24%、100万円が13%です。
この期間の10万円の口座は、入金額を上回る135,339円の落ち込みがありましたが、最後まで回り、純損益は+87,395円でした。レポート上の割合が81%だったことから、落ち込みの基準となったピーク時の有効証拠金は入金額より高かったことになります。つまり、落ち込みの前に利益(含み益を含む)が出ていたと読めます。
この例から、落ち込みの円額が入金額を上回れば必ず止まるとは限らないことが分かります。損失と利益が発生する順番でも変わるため、入金予定額を設定して回し直す確認が必要です。
続けて運用していたら止まらなかった可能性はある(推定)
測定できた前の3期間の純損益は、−6,471円、+87,395円、+358,419円でした。ただし、各期間は新しい口座として別々に回しており、残高を引き継ぐテストではありません。
ここからは推定です。10万円で2025年7月3日から止めずに運用できたと仮定します。強制決済が起きた期間の開始時残高は、次の計算になります。
100,000円 − 6,471円 + 87,395円 + 358,419円 = 539,343円
FX VERIFY LABでは、この残高なら強制決済されなかった可能性が高いと推定しています。
連続運用のテストは実施していません。最初の期間にもレポート上の落ち込みは85%まで進んでおり、途中で止まらずに残高を引き継げたかは確認できていません。
自分のEAに必要な資金を見積もる3ステップ
必要資金の見積もりは、MT5のストラテジーテスターで確認できます。取引量を変えると落ち込みの円額も変わるため、使う予定の設定で回します。
- 自分のEAをストラテジーテスターで、できるだけ長い期間回します。
- レポートの「証拠金最大ドローダウン」にある円額を読みます。この記事の例では135,339円です。
- その円額を入金予定額と比べます。入金予定額を初期証拠金としてもう一度回し、約定一覧に強制決済を表すコメント「so」が出ないか、証拠金維持率がどこまで下がるかを見ます。
証拠金維持率がどこまで下がったら運用を止めるか、資金を足すかという線は、自分で決めておきます。この記事では具体的な線を示しません。
GogoJungleの記事の式を簡単にすると、必要証拠金+最大ドローダウン×2です。この式に今回の0.01ロットでの落ち込みを当てはめると、最大ドローダウンの部分は135,339円×2=270,678円です。必要証拠金の額は今回測っていないため、足していません。これは計算例であり、特定の入金額を勧めるものではありません。
FX VERIFY LABの標準手順では、資金を10万円・30万円・100万円の3通りで確認します。今回は50万円も追加しました。取引量が固定されたEAを検証するときは、資金に合わせて取引量が変わる方式へ変更していません。
この記事で分かっていないこと
今回の結果は、1つのEAを1つのブローカー環境で調べたものです。資金に応じて取引量が変わるEAには、そのまま当てはまりません。また、実口座の結果ではなく、検証期間は約14.3か月です。
2022年1月〜2025年7月は、このブローカー環境のストラテジーテスターで内部エラーが起きたため検証できていません。データ自体は2022年1月からありました。
商品ページには、実口座では取引が0件だったという利用者レビューがあります。一方、今回のテスターでは取引が行われました。FX VERIFY LABが商品ページでレビューの存在を確認していますが、その内容は確かめておらず、食い違いの理由も分かっていません。
30万円とほかの資金で純損益が数千円違う理由も確認できていません。同じ取引の流れだったことまでは確認しています。業者の強制決済水準と必要証拠金の額も、この検証では測っていません。残高を引き継いだ連続運用のテストもしていません。
この記事で使ったEAそのものの検証結果は、XAUUSD 5 minute EAは7.3でも動く?実ティック14.3か月の検証で読めます。
バックテストのあとにEAを24時間動かすなら、先に動かす環境のメモリを見ておきます。ZEN AI LABのPCとVPSを測った記録は、EAを24時間動かすVPSの選び方|MT5データ51GBでもメモリ残り110MBにまとめています(そのページには広告を含みます)。
まとめ
EAに必要な資金は、バックテストに出た最大の落ち込みの円額を判断の起点にします。同じ0.01ロットで資金だけを変えた検証では、落ち込みの円額はほぼ同じでも、その後に残る金額が変わりました。
2026年4月20日には、92,500円〜92,992円減った後に残高7,500円となった10万円の口座だけが強制決済されました。ただし、利益と損失の順番でも結果が変わるため、入金予定額でテストし直す必要があります。
次にやること:
- 今日、自分のバックテストレポートを開き、「証拠金最大ドローダウン」の円額を確認します。
- 入金予定額を初期証拠金に設定して再度テストし、コメント「so」と証拠金維持率を確認します。
資金別の全データと、次に検証するEAは
4通り×5期間の全データ、前半と後半に分けた結果、スプレッドを広げた結果、トレードの順番を入れ替えた場合の結果を公開しています。資金別の全データを載せたnoteの有料記事で確認できます。
残高を引き継いだ連続運用のテストはまだしていません。FX VERIFY LABでは、資金量によるリスクを含むEAの検証レポートを出しています。次に検証するEAは、noteの定期購読マガジン「FX VERIFY LAB|EA性能検証レポート」で確認できます。


[…] 資金に対してどれだけ減りうるかは、資金とロットから見積もる方法も参考にできます。 […]