ST(スタートタイミング)は、大時計が0を指した後、何秒後にスタートラインを通過したかを表す数字です。Yahoo!知恵袋には2026年2月に、常滑のレースガイドの今節成績ページにある平均STと、スタート展示の今節平均STは何が違うのか、という質問が出ていて、回答も期間は推測でした(質問ページ)。
本番のSTに一番近かったのは、出走表の平均STでした。約84万艇で比べると、本番のSTとの差が0.03以内だったのは、平均STで41.20%、スタート展示のSTで21.99%です。
読み終えると、平均STが何か月分の平均か、展示のSTをどこまで信じてよいかが分かります。数えたのは、ZEN AI LAB が作って販売している自社ツールで集めた研究用データベースです。競艇のデータで何が数えられるかの全体は、競艇のデータの見方と集め方にまとめています。
出走表の平均STは、半年分の本番のSTの平均
公式の BOAT RACE GUIDE では、平均STは「レーサーが出走した全レースの平均スタートタイミング」と説明されています。ただ、いつからいつまでの平均かは書かれていません。そこで、データで確かめました。
出走表の平均STを、本番のSTからいろいろな期間で出し直して比べました(2024年以降の出走表から2万行)。一致したのは、級別の審査期間(選手のランクを決める半年ごとの成績の期間)と同じ半年です。
- 1〜6月のレース: 前の年の5月1日〜10月31日の平均
- 7〜12月のレース: 前の年の11月1日〜その年の4月30日の平均
この期間で出し直すと、98.85%が出走表の値と同じでした。合わなかったのは1月と7月だけで(ほかの月は100%)、期の切り替わりに関係すると見ています。
つまり、出走表の平均STは「今節」でも「最近」でもありません。1月のレースなら2か月前まで、6月のレースなら8か月前までの成績です。出走表の平均STの分布(0.14以下は約5艇に1艇など)は、競艇の出走表の見方にあります。
今節平均STは、いま走っている節(同じ場の続いた開催)のSTの平均です。この記事では、同じ場で日付が続く出走をひとつの節とみなし、そのレースより前の本番のSTの平均を「今節のここまでの平均」として数えました。
平均スタート順位は、レースの中のSTの順位の平均
「平均スタート順位って6人の中で誰が何番目にいいスタートを切ったかの平均値ですか?」という質問もあります(質問ページ)。
答えは、そのとおりでした。公式の選手の期別成績ファイルには、コースごとの「平均スタート順位」があります。レースの中でSTが早い順に順位を付け、その平均を選手ごとに出すと、1コースの値はファイルとほぼ全員で一致しました(くわしくは LAB 記録)。ファイルの平均STも、本番のSTの平均とほぼ全員が同じ値です。
スタート展示のSTは、本番より早く出やすい
スタート展示と本番のどちらもフライングでなかった969,229艇で、STを比べました。展示のSTの真ん中は0.10、本番は0.16です。

本番のほうが遅かったのは68.24%、同じだったのは3.24%でした。差が0.02以内に収まったのは15.64%で、0.10以上ずれた艇が43.40%います。差の真ん中は、本番が0.05遅い値です。
展示のSTと本番のSTの相関は0.07で、ほとんど連動していません。展示で早かった艇が本番でも早い、とは言いにくい数字です。展示の並び(進入)は約9割が本番でもそのままでしたが(競艇のスタート展示の見方)、STは別でした。
展示でフライングした艇も、本番のフライングは増えない
スタート展示では、21.65%の艇がフライングしています。展示でフライングした艇が本番でフライングしたのは0.38%で、しなかった艇の0.40%と同じくらいでした。本番のSTの真ん中も0.15と0.16で、ほぼ同じです。展示のフライングに罰則が無いこと(公式の BOAT RACE GUIDE)は競艇のスタート展示の見方に、本番のフライングのルールは競艇のフライングにまとめています。
本番のSTに一番近いのは、出走表の平均ST
出走表の平均ST・今節のここまでの平均・スタート展示のSTの3つがそろっている837,268艇で、本番のSTとの差を比べました。

| 数字 | 本番との差の平均 | 差が0.03以内 |
|---|---|---|
| 出走表の平均ST | 0.053 | 41.20% |
| 今節のここまでの平均 | 0.060 | 34.27% |
| スタート展示のST | 0.095 | 21.99% |
半年分の平均のほうが、直前のスタート展示より本番に近い結果です。今節のここまでの平均は、前の出走が真ん中で4回しかないので、ぶれが大きくなります。2023年から2026年まで、どの年もこの順番は同じでした。
レースで一番早くなる艇の目安としても、平均STが上
レースの中で、それぞれの数字が一番早い艇が、本番でもST 1位だった割合も数えました(6艇とも3つの数字と本番のSTがそろう59,026レース)。

平均STが一番早い艇は、39.56%で本番もST 1位でした。展示のSTでは28.25%です。でたらめに1艇選んだときの19.75%よりは高いものの、平均STには届きません。
自分の場や期間で数え直すには
BoatData Collector Pro の「艇ごとに1行」の CSV では、S列が avg_start_timing(出走表の平均ST)、AJ列が preview_st(展示のST)、AT列が actual_st(本番のST)です。フライングはマイナスの数で入ります。列の位置は1行目の列名で確かめてください。
- CSV を Google スプレッドシートかエクセルで開きます
- 空いているセルに、次の式を入れます(865 は行の数に合わせて変えます)
- 2つの数を割ると、割合になります
- 比べる艇の数:
=SUMPRODUCT(ISNUMBER(AJ2:AJ865)*ISNUMBER(AT2:AT865)*(AJ2:AJ865>=0)*(AT2:AT865>=0)) - 展示と本番の差が0.02以内の艇:
=SUMPRODUCT(ISNUMBER(AJ2:AJ865)*ISNUMBER(AT2:AT865)*(AJ2:AJ865>=0)*(AT2:AT865>=0)*(ABS(ROUND(AT2:AT865-AJ2:AJ865,2))<=0.02))
AJ を S に変え、(S2:S865>0) にすれば、平均STとの差を数えられます(平均STが空か0の艇を除くため)。2026年8月24日の1日分では、比べる艇716艇のうち、展示との差が0.02以内は127艇でした。平均STとの差が0.02以内は、852艇のうち249艇です。
今節の平均を出すには、同じ選手の前のレースを毎日つなぐ必要があります。何か月分の直前情報と結果を並べる作業は、ツールに任せる手もあります。
直前情報と結果を何年分も集めるところを任せるなら
ZEN AI LAB の自社ツール BoatData Collector Pro は、この記事の数字を数えた研究用データベースを作ったツールです。期間と競艇場を選んで、競艇の公開データをまとめて集める Windows 用のツールです。
- 出走表・展示/直前情報・結果・払戻を取得し、SQLite にためます
- 取得済みのデータは取り直さず、次は続きから取得します。Excel・CSV に書き出せます
使う前の注意
- 予想・買い目・自動投票の機能はありません。集めて保存し、出力するまでです
- 公式サイトや BOATRACE とは関係のない、非公式のツールです。データの正確性は保証していません
- 無料版があります。取得できる期間は直近30日までです。製品版は期間を自分で選べます(保存できるのは2016年10月1日以降のレース。2026年11月に実際に取得して確かめた範囲)
くわしくはBoatData Collector Pro 無料版のページと、BoatData Collector Pro のページにあります。
スタートの早さと並んで気になるフライングの多さを男女で比べたのが、競艇の女子はフライングが多い?です。
競艇のデータを、何か月分も自分で集めて数えるなら

BoatData Collector Pro は、競艇の公開データを期間と競艇場を選んで集め、Excel・CSV に書き出す自社ツールです。予想や買い目は出しません。保存できるのは2016年10月1日以降のレースです。
- BoatData Collector Pro:6,000円(買い切り・note。ココナラでも6,000円)
- 分析版 BOAT DATA PRO:10,000円(ココナラ)。集めたデータを進入コース別・選手別などに集計する画面つき
- 無料版:直近30日まで(LINEで受け取り)
価格は2026年11月7日の表示です。変わることがあるので、買う前に各ページで確かめてください。Windows 11(64bit)用です。
確かめたことと、データでは分からないこと
数字はすべて研究用データベース(2023年1月1日〜2026年9月27日)を読み取り専用で開いて数えました。平均STの説明は、保存してある公式の BOAT RACE GUIDE の写し(2026年10月30日に読んだもの)で確かめています。出走表の平均STの期間と、期別成績ファイルの平均スタート順位の定義は、本番のSTから出し直して一致を確かめました。
データでは分からないのは、展示のSTが本番より早く出る理由です。展示で選手がどこまで踏み込んでいるかは、記録に入っていません。公式の場の画面に出る「今節平均ST」の数え方の説明は見つからなかったので、この記事の「今節のここまでの平均」は ZEN の数え方です。
数字はどれも過去のレースを数えたものです。STの早い艇が勝つという意味ではなく、この先の結果を約束するものでもありません。
まとめ
- 出走表の平均STは、級別の審査期間と同じ半年分の本番のSTの平均でした
- スタート展示のSTは本番より早く出やすく、差が0.02以内は15.64%だけでした
- 本番のSTに一番近いのは出走表の平均STで、差が0.03以内に収まった艇は展示のSTの約1.9倍でした
- 本番のスタートの目安は、まず出走表の平均STで見る。展示のSTは本番より早く出がちで、本番の目安にはしにくい(一番早い艇が本番も1位だったのは、展示28.25%・平均ST 39.56%)
- 平均STが何か月前の成績かを、レースの月で確かめる(1〜6月なら前の年の5〜10月)
LAB 記録(読み飛ばしてかまいません)
- 本番のST・展示のSTは、フライング(マイナス)と空欄を除いた艇です。展示のSTの空は20,554艇でした
- 「約84万艇」は、3つの数字がそろった837,268艇(189,580レース)です。出走表の平均STが空か0の艇は除いています
- 出走表の平均STの期間は、2024年1月1日以降の出走表から乱数(seed=65)で選んだ20,000行で比べました。ほかの期間との一致は、期の初日〜前日23.40%・直前180日33.27%・1つ前の期76.88%でした。1月は92.51%、7月は95.89%で、ほかの月は100%です
- 平均スタート順位の一致を確かめた選手は、6つの期で各1,464〜1,518人です
- 期別成績ファイルの確かめは、DB に集計期間が全部入っている6つのファイル(2023年5月〜2026年4月の期)です。平均STは±0.01以内が100%、ぴったり同じが99.62〜99.94%でした。1コースの平均スタート順位は、同じSTの艇を同じ順位(小さいほう)にして、差0.1以内が100%・相関0.999です
- 「今節のここまでの平均」は、同じ選手が同じ場で、日付の間が1日以内に続く出走をひとまとまりにし、そのレースより前の本番のSTの平均です。前の出走の数の真ん中は4回でした
- 本番との差の平均は、差の絶対値の平均です。相関は、平均ST 0.22・今節のここまでの平均 0.19・展示 0.06(この837,268艇で)
- 「レースで一番早い艇」は、同じ値の艇がいれば全員を一番にしています。でたらめに選んだときの19.75%は、ST 1位の艇の数(同じ値を含む)÷6 の平均です
- 展示のフライングは、展示のSTがマイナスだった268,923艇です(欠場・出遅れ欠場を除く)
- 実際のコースごとの、本番−展示の差の真ん中は、1〜4コース0.05、5コース0.06、6コース0.07でした
- 「1つ前の期」との一致が76.88%で止まったのを見てから、級別の期間に合わせた比べ方を計画に足しました(追記2)
- 式は、2026年8月24日の1日分の CSV(864行)を Python で数えて確かめました
- 2026年2月の質問は、ページの要約しか取れなかったので「」で引用していません。平均スタート順位の質問は、2026年11月7日に原文と照合しました
- 販売ページ2つは、2026年10月29日に開いて読みました

