競艇の安定板とは|荒れた日の周回短縮と1号艇の1着率を数えた

競艇の安定板とは。周回短縮は約34レースに1回、風速8m以上では59.11%が周回短縮。1号艇の1着率は風をそろえるとほぼ同じ

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監修:ZEN AI LAB(ZEN)

人間1人とAI社員で動く会社です。記事の数値は自社の作業ログの実測、仕様や料金は公式の一次情報で確認しています。確認した日付は本文に書いています。

安定板は、荒れた水面でボートを安定させるために、モーターの下に付ける板です。BOATRACE 公式サイトの用語辞典は、付けるとインが有利といわれている、と書いています。

本当にインは有利になるのか。Yahoo!知恵袋にも2021年に「競艇 安定板付いたらイン逃げ率が上がるんですか? むしろ下がるような気がするのですが」という質問が出ていて、統計を取った人はいないかと尋ねていました(質問ページ)。

ただ、安定板が付いたかどうかは、ZEN AI LAB のデータベースには残っていませんでした。そこで、安定板のさらに先にある「周回短縮」(3周を2周にしたレース)を、約21万レース(2023年1月〜2026年9月)で数えました。周回短縮は約34レースに1回あり、風速をそろえて比べると、1号艇の1着率は通常のレースとほとんど変わりませんでした。

読み終えると、安定板と周回短縮が何のためのものか、どんな日に起きるか、1号艇がどうなるかが分かります。数えたのは、ZEN AI LAB が作って販売している自社ツールで集めた研究用データベースです。競艇のデータで何が数えられるかの全体は、競艇のデータの見方と集め方にまとめています。

安定板は、荒れた水面でボートを安定させるU字型の板

BOATRACE 公式サイトの用語辞典の説明は、次の3つです。

  • 「荒天時や波が高いときに装着される。」
  • 「安定板はモーターの下部に取り付けられるU字型の板で、取り付けることによってボートの安定を図るのが最大の目的。」
  • 「装着するとトップスピードが落ち、まくり切るのが難しいためにインが有利といわれている。」

インが有利というのは、公式の説明でも「いわれている」という書き方です。データで確かめたかどうかは書かれていません。

荒れてくると、安定板、周回短縮、中止の順に進むことが多い

ボートレース江戸川の公式の成績表(2026年2月9日分の PDF)には、こう書かれていました。「天候の急変等により、安全かつ公正なレースができないと判断した場合には、周回の短縮又は、やむを得ずレースを中止させていただくことがあります。」

1日の中でどう進むのかを、江戸川の2026年2月10日の成績表(江戸川の公式サイトの PDF・翌日の出走表と1つのファイル)で見ました。

江戸川の2026年2月10日の12レース。1〜5Rは通常の1,800mで波高5cm、6Rと7Rは安定板を付けて1,800mで波高15cm、8〜12Rは安定板を付けたまま2周1,200mに短縮され波高20cm、8R以降の風速は4〜6m

1Rから5Rは、ふつうの3周(1,800m)でした。波高が15cmになった6Rから「安定板」の表示が付き、20cmになった8Rから距離が「H1200m」、つまり2周に変わっています。8R以降の1着のタイムは1分14秒〜1分15秒台で、3周だった1Rから7Rの1分50秒〜1分55秒台より、はっきり短い値でした。8R以降の風速は4〜6mで、強い風だけで短縮が決まったわけではないことも分かります。

この日は中止にはなりませんでした。全国で数えても、途中から最後まで中止になった日の7割強は、中止の前に周回短縮がありました(下の「1日の中では」の節)。ZEN のデータベースの同じ日の距離・風速・波高も、成績表と同じでした。

安定板が付いたかは、成績表や出走表の表示で見る

江戸川の成績表では、レース番号の下に「安定板」と書かれます。前日の2026年2月9日の成績表は、2Rから12Rまでの11レースに「安定板」が付いていて、距離はどれも1,800mでした。安定板だけで周回は短縮しない日もある、ということです。

安定板は記録に残らないので、周回短縮で数える

ZEN AI LAB のデータベースには、安定板の列がありません。データを集める自社ツールが読む出走表・結果のデータに、安定板の項目が無いためです。

一方、距離はレースごとに記録されています。そこで、距離が1,200mのレースを「周回短縮」として数えました。江戸川の例のように、周回短縮のレースには安定板も付いていると考えられますが、すべてのレースでそうかは、このデータでは確かめられません。

周回短縮は約34レースに1回。冬に多く、夏は少ない

中止を除く207,662レースのうち、1,200mのレースは6,035でした。2.91%で、約34レースに1回です。周回短縮があった「場と日」は878で、場ごとの開催日の約20日に1日でした。

月ごとの周回短縮の割合。1月5.28%と2月5.13%が高く、7月0.98%がいちばん低い。11月から5月は3%を超え、6月から10月は2%を下回る

11月から5月は3%を超え、6月から10月は2%を下回りました。

場ごとの差も大きく、24場のどこでも1回はありました。いちばん多いのは江戸川の12.53%で、全体の約4.3倍です。続いて桐生6.50%、鳴門5.54%でした。少ないほうは徳山0.13%、住之江0.18%です。

年ごとに見ると、2023年2.02%、2024年2.69%、2025年3.48%、2026年3.60%(9月まで)と上がっていました。理由は、このデータには出てきません。

風速8m以上のレースでは、6割近くが周回短縮だった

本番の風速の帯ごとに、周回短縮の割合を出しました。

本番の風速レース周回短縮割合
0〜4m174,7815910.34%
5〜7m29,1223,22211.06%
8m以上3,7592,22259.11%

周回短縮のレースの90.21%は、風速5m以上でした。風速の真ん中の値は、周回短縮のレースが7m、通常のレースが2mです。

ただ、風速8m以上でも4割は3周で走っていました。周回短縮を決めるのは場の判断で、風速だけで決まるわけではありません。風速0〜4mでも周回短縮が591レースあります。

1日の中では、途中のレースから最後まで短縮されることが多い

周回短縮のあった878日のうち、途中のレースから最後のレースまで続けて短縮された日が538日(61.28%)でした。その日の全レースが短縮だった日は230日(26.20%)です。短縮が始まったレースは、2Rから12Rまでばらけていました。

周回短縮の日のうち119日(13.55%)は、そのあとのレースが中止になっています。逆に、途中のレースから最後まで中止になった163日で見ると、119日(73.01%)は中止の前に周回短縮のレースがありました。残りの44日は、周回短縮を挟まずに中止になっています。欠場・失格・中止の頻度の全体は競艇のルールにまとめています。

1号艇の1着率は、風速をそろえると通常のレースとほぼ同じ

そのまま比べると、周回短縮のレースの1号艇の1着率は48.05%で、通常のレース(1,800m)の54.79%より6.74ポイント低い値でした。質問した人の「むしろ下がる」に近い数字です。

ただ、周回短縮のレースは風が強い日に集まっています。風が強いと、1号艇の1着率は下がります(風速で競艇はどう変わる?)。そこで、風速の帯をそろえて比べました。

風速の帯ごとの1号艇の1着率。0〜4mは周回短縮54.15%・通常55.63%、5〜7mは49.19%・49.61%、8m以上は44.78%・46.19%。どの帯も95%の幅が重なる

どの帯でも、周回短縮のほうが少し低いものの、差は1.5ポイント以内でした。95%の幅(数のぶれを考えても値が入りそうな範囲)は、3つの帯すべてで重なっています。

周回短縮のレースの風速の内訳に、通常のレースの帯ごとの率をあてはめると、見込みは48.94%です。実際の48.05%との差は0.89ポイントで、数のぶれの範囲に入る大きさでした。

つまり、周回短縮のレースで1号艇の1着率が低く見えたのは、ほとんどが風の強さの分でした。「付けるとインが有利」と言えるほど1号艇が上がる形は、このデータでは見えません。ただし、通常のレースの側にも安定板だけ付けたレースが混ざっているので、安定板そのものの効き目は分けられていません。全体の1号艇の1着率は競艇の1号艇の勝率にあります。

自分の場で、周回短縮を数え直すには

江戸川のように周回短縮の多い場と、ほとんど無い場があります。よく行く場で数えるなら、BoatData Collector Pro の「艇ごとに1行」の CSV が使えます。ZEN が書き出した CSV では、I列が distance_m(距離)、J列が boat_number(艇番)、AU列が finish_position(着順)でした。列の位置は、1行目の列名で確かめてください。

  • 周回短縮のレースの数: =COUNTIFS(I:I,1200,J:J,1)
  • そのうち1号艇が1着だった数: =COUNTIFS(I:I,1200,J:J,1,AU:AU,1)

1号艇の1着率を通常のレースと比べるときは、風速をそろえます。AQ列が wind_speed(風速)です。

  • 風速5m以上の周回短縮のレースで、1号艇が1着だった数: =COUNTIFS(I:I,1200,J:J,1,AQ:AQ,">=5",AU:AU,1)
  • 同じ風速の通常のレースなら、1200 を 1800 に変えます

場で絞るなら、C列(venue_name)の条件を足します。安定板だけの日は、この CSV では分けられないので、場の成績表で確かめることになります。

周回短縮は全体で約34レースに1回なので、1場の1年分では数十レースほどにしかならない場が多くなります。何年分も集めるところは、ツールに任せる手もあります。

出走表と結果を何年分も集めるところを任せるなら

ZEN AI LAB の自社ツール BoatData Collector Pro は、この記事の数字を数えた研究用データベースを作ったツールです。期間と競艇場を選んで、競艇の公開データをまとめて集める Windows 用のツールです。

  • 出走表・展示/直前情報・結果・払戻を取得し、SQLite にためます
  • 取得済みのデータは取り直さず、次は続きから取得します。Excel・CSV に書き出せます

使う前の注意

  • 予想・買い目・自動投票の機能はありません。集めて保存し、出力するまでです
  • 安定板の有無は取得していません。距離(周回短縮)・風速・波高は入ります
  • 公式サイトや BOATRACE とは関係のない、非公式のツールです。データの正確性は保証していません
  • 無料版があります。無料版で取得できる期間は直近30日までです。それより前の期間は製品版で取得します

くわしくはBoatData Collector Pro 無料版のページと、BoatData Collector Pro のページにあります。

競艇のデータを、何か月分も自分で集めて数えるなら

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BoatData Collector Pro は、競艇の公開データを期間と競艇場を選んで集め、Excel・CSV に書き出す自社ツールです。予想や買い目は出しません。保存できるのは2016年10月1日以降のレースです。

  • BoatData Collector Pro:6,000円(買い切り・note。ココナラでも6,000円)
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価格は2026年11月7日の表示です。変わることがあるので、買う前に各ページで確かめてください。Windows 11(64bit)用です。

確かめたことと、データでは分からないこと

安定板の説明は、2026年11月7日に BOATRACE 公式サイトの用語辞典を開いて読みました。江戸川の成績表は、同じ日に江戸川の公式サイトの PDF を開いて読み、データベースの同じ日と突き合わせました。数字はすべて研究用データベース(2023年1月1日〜2026年9月27日)を読み取り専用で開いて数えました。計算の前に計画を書いて数え、年ごとの割合や、中止の日から見た数(163日)などは、結果を見てから足しました(LAB 記録)。

データでは分からないことは、次のとおりです。

  • 安定板そのものが1号艇にどう効くか。安定板だけを付けた日は数えられないので、場の成績表を1日ずつ集めないと確かめられません
  • 周回短縮を決める基準。公式の説明は「安全かつ公正なレースができないと判断した場合」までで、風速や波高の数字の決まりは見つかりませんでした
  • 年ごとに周回短縮が増えている理由

数字はどれも過去のレースを数えたものです。安定板や周回短縮の日にどのレースを買えばよいという意味ではなく、この先の結果を約束するものでもありません。

まとめ

  • 安定板は、荒天や波が高いときにモーターの下に付ける板です。荒れてくると、安定板、周回短縮、中止の順に進むことが多く、途中からの中止の73.01%は周回短縮のあとでした
  • 周回短縮は約34レースに1回で、11月から5月に多く、風速8m以上では59.11%が周回短縮でした
  • 1号艇の1着率は、風速をそろえると周回短縮でも通常のレースとほぼ同じでした
  1. 「安定板」や「H1200m」の日の1号艇の数字を見るときは、表示ではなく本番の風速の帯で、通常のレースと比べる

LAB 記録(読み飛ばしてかまいません)

  • 周回短縮は races.distance_m=1200 のレースです。1,200mのレースは全部で6,997あり、そのうち962は中止でした。数字は中止を除いた6,035レースです
  • 「場と日」は場ごとの開催日で、全部で17,550です。「その他」の形(短縮と通常が入り混じる日など)は110日(12.53%)でした
  • 中止の前の周回短縮は、途中のレースから最後まで続けて中止になった場と日(1レースだけの中止は除く・最後の12Rだけの中止は含む)で数えました
  • 計画に最初から書いていたのは、1,200mの数・割合、日の中での形、風速の帯、場と月、1号艇の比べ方です。年ごとの割合、途中からの中止の163日から見た数、90.21%、約4.3倍、見込みとの差の幅は、結果を見てから足しました
  • 計画では「95%の幅が重なれば差は分からない」と言う決まりにしていました。本文の「ほぼ同じ」は、帯ごとの差が1.5ポイント以内で幅が重なり、見込みとの差(−0.89ポイント)の95%の幅も−2.48〜+0.70ポイントで0をまたぐことから使いました
  • 公式の競走成績のファイル(K ファイル)は、手元の1日分(2026年9月15日)で見出しに「安定板」の文字がありませんでした。その日に安定板のレースがあったかは分からないので、K ファイルに安定板の印があるかどうかは確かめられていません
  • 風速は本番の記録(race_weather の phase=’RACE’)です。風速の帯は計算の前に決めました。風速で競艇はどう変わる?とは区切りと期間が違うので、値は一致しません
  • 波高は、場によって風速と同じ値が記録される(公式の競走成績のファイルでも同じ)ので、本文では使いませんでした。参考までに、波高15cm以上のレースの60.94%が周回短縮でした
  • 1号艇の1着の分母は、1着の艇が記録されているレースです。95%の幅は、0〜4m 周回短縮50.13〜58.16%・通常55.40〜55.86%、5〜7m 47.47〜50.92%・49.00〜50.22%、8m以上 42.71〜46.85%・43.70〜48.69%です。レースを互いに独立とみなして出しているので、実際の幅はもう少し広い可能性があります
  • 見込みは、周回短縮のレースの風速の内訳(0〜4m 591・5〜7m 3,222・8m以上 2,222)に、通常のレースの帯ごとの率を掛けて足しました
  • 場ごとの割合は、その場の中止を除くレースが分母です(江戸川 980/7,823)
  • 式は、2026年8月24日の1日分の CSV(その日の1,200mは江戸川12Rの1レースだけ)を Python で数え、1号艇の行1・1着1を確かめました。風速の条件を足した式は、同じ日に風速5m以上の1,200mの1号艇が1行、1,800mの1号艇が27行(1着12)で、Python の数と同じ形で数えられることを確かめました
  • 安定板の用語辞典は、WebFetch の単発の取得で、1文ずつ引用の形で読みました。江戸川の成績表は PDF の写しを保存し、表は画像にして目で読みました
  • 悩みの原文は、2026年11月7日に質問ページを開いて照合しました(冒頭の一文だけを引用)
  • 販売ページ2つは、2026年10月29日に開いて読んだ内容で書いています