荒れやすい条件は、ありました。直前の風速が5m以上のレース、2〜4R、節の初日(同じ場で続く開催の初日)です。ただ、どれも万舟の割合が全体より1ポイントほど高いだけでした。スタート展示の並びが枠番どおりでなく、風も強いレースでも19.78%で、約5レースに4回は万舟になっていません。
荒れそうなレースだけを選んで買いたい。そう考えて、風の強い日や進入がもつれそうなレースを探している人は多いと思います。Yahoo!知恵袋にも「どういうレースが荒れる確率高いですか?」という質問がありました(2017年12月)。
この記事では「荒れる=万舟(3連単の払戻が100円あたり1万円以上)」として、締切前に分かる条件ごとに割合を数えます。読み終えると、どの条件をどのくらい気にすればいいかを、ポイントの大きさで比べられます。数えたのは、ZEN AI LAB が作って販売している自社ツールで集めた研究用データベースです。競艇のデータで何が数えられるかの全体は、競艇のデータの見方と集め方にまとめています。
荒れやすいのは風速5m以上・2〜4R・節の初日。上乗せは1ポイントほど
物差しは「全体で約6レースに1回」
2023年1月から2026年9月まで、3連単の払戻があった207,583レースのうち、万舟は16.78%でした。約6レースに1回です。万舟の意味や払戻の大きさは、競艇の万舟とはで数えています。
条件を探すときに気をつけたことがあります。条件を何十個も試して、結果がよかったものだけを並べると、偶然の差でも「見分け方」に見えてしまいます。そこで、数える前に次の5つだけを計画に書き、あとから入れ替えませんでした。
- スタート展示の進入が枠なり(6艇とも枠番どおりのコース)かどうか
- 直前情報の風速(0〜2m・3〜4m・5〜6m・7m以上)
- レース番号(1〜4R・5〜8R・9〜12R)
- 節の何日目か(初日・中日・最終日)
- 展示が枠なりでなく、風速5m以上の組み合わせ
どれも締切前に分かる情報です。そのうえで、全体より1ポイント以上高いか低いか、偶然の幅を超えているか、前半(2023〜2024年)と後半(2025年〜2026年9月)で同じ向きか、を確かめました。
条件ごとの万舟の割合。1つずつの条件で差があったのは4つ

数字の大きさと、2つの期間の向きをまとめました。差は「その条件の万舟の割合 − 同じ期間の全体」です。
| 条件 | レース数 | 万舟の割合 | 前半の差 | 後半の差 |
|---|---|---|---|---|
| 風速 5〜6m | 24,853 | 18.05% | +1.38 | +1.15 |
| 風速 7m以上 | 7,873 | 17.99% | +1.18 | +1.26 |
| 節の初日 | 37,243 | 17.94% | +0.87 | +1.51 |
| 1〜4R | 69,427 | 17.80% | +1.17 | +0.87 |
| 展示が枠なりでない | 32,925 | 17.56% | +0.75 | +0.81 |
| 風速 0〜2m | 101,091 | 16.21% | −0.58 | −0.55 |
| 5〜8R | 69,238 | 16.13% | −0.76 | −0.52 |
差があったと言えるのは、風速5〜6m・風速7m以上・節の初日・1〜4Rの4つでした。風の2つをまとめると、風速5m以上・1〜4R・節の初日の3つです。どれも全体より1ポイント強の上乗せで、2つの期間で同じ向きです。
一方で、展示の進入が枠なりでないレースは17.56%で、全体との差は0.79ポイントでした。向きはそろっていますが、決めておいた1ポイントに届きません。進入の乱れは荒れそうに見えますが、この数え方では差を確かめられませんでした。
風速0〜2mの日と5〜8Rは、全体より少し荒れにくい側でした。
何レース目が荒れるか。多いのは2〜4Rで、1Rは全体並み
レース番号で3つに分けると、1〜4Rが17.80%、5〜8Rが16.13%、9〜12Rが16.39%でした。差は1〜2ポイントです。ただ、1〜4Rの上乗せは2〜4Rが生んでいます。1Rずつの万舟の割合は荒れる競艇場ランキングの後半に表があり、2〜4Rが18%前後、1Rは16.5%で全体並みでした。
節の初日は少し荒れやすく、最終日は全体並み
同じ場で日付が続く開催を1つの節として、初日・中日・最終日に分けました。初日は17.94%、中日は16.42%、最終日は16.92%でした。初日の上乗せは、前半0.87・後半1.51ポイントで、どちらも全体より高い側です。
条件が重なると上がる。ただし約5レースに1回
展示の進入と風速を重ねて、8つに分けました。決めておいた組み合わせ(展示が枠なりでない × 風速5m以上)の中身を見るためのもので、判定には使っていません。

展示が枠なりでも、風速が上がると万舟の割合は16.17%から17.8%台まで上がりました。枠なりでないレースでは、5〜6mで19.75%、7m以上で19.90%です。
決めておいた組み合わせ(展示が枠なりでなく、風速5m以上)は4,732レースで、万舟は19.78%でした。全体より3.00ポイント高く、前半+3.22・後半+2.74ポイントと、2つの期間で同じ向きです。今回の条件の中では、いちばん荒れやすいレースでした。こうしたレースは、全体の2.28%(約44レースに1回)です。

100レースに直すと、全体で約17レース、いちばん荒れやすい組み合わせで約20レースが万舟です。条件をそろえて探しても、100レースのうち3つほど増えるだけでした。「荒れるレースを見分ける」というより、「少し荒れやすい日を知っておく」くらいの差です。
展示の進入が本番でどうなるかは、競艇のスタート展示の見方で数えています。展示が枠なりでなかったレースは、84.21%が本番でも枠なりでありませんでした。本番の進入で分けると、枠なりでないレースの万舟は18.52%でした。ただし本番の進入は締切後に決まるので、締切前の見分けには使えません。
級別で分けない理由と、1号艇との関係
知恵袋の質問には、A1選手ばかりのレースとB級が多いレースのどちらが荒れやすいか、という問いもありました。この記事では級別では分けていません。級別ごとの数字は、ZEN AI LAB の競艇研究(ZEN BOAT LAB)の有料の研究で扱う範囲だからです。
万舟と強く結び付くのは、1号艇の着順です。1号艇が1着のレースの万舟は3.50%、1着でなかったレースは32.74%でした(競艇の万舟とは)。ただ、着順はレースが終わるまで分かりません。1号艇がどのくらい負けるかの数字は、競艇の1号艇の勝率にあります。
自分の場や期間で、荒れ方を数え直すには
ここまでの数字は、全国・3年9か月分です。よく行く場で、何レース目が荒れるかを数え直すなら、払戻を1行ずつ持っていればできます。
BoatData Collector Pro の払戻の CSV は、1行が1つの払戻です。C列がレース番号(race_no)、E列が券種(bet_type)、G列が払戻金(payout_yen・100円あたり)、I列が状態(payout_status)です。エクセルか Google スプレッドシートで開き、空いているセルに次の式を入れます。
- 1〜4Rの3連単の払戻の数:
=COUNTIFS(E:E,"trifecta",I:I,"NORMAL",C:C,"<=4") - そのうち万舟の数:
=COUNTIFS(E:E,"trifecta",G:G,">=10000",I:I,"NORMAL",C:C,"<=4")
2つ目を1つ目で割ると、1〜4Rの万舟の割合です。「<=4」を「>=9」に変えれば9〜12Rになります。2026年8月24日の1日分で数えると、1〜4Rは48レースで万舟が5、9〜12Rは48レースで万舟が7でした。Python で同じ条件を数えた値です。同着で払戻が2つあるレースは2行になるので、その分だけ数が増えます。
1日分では、ここまで少ない数です。差が1ポイントほどの条件を見るには、何か月・何年分もの払戻と直前情報が要ります。集めて表にするところは、ツールに任せる手もあります。
払戻と直前情報を集めるところを任せるなら
ZEN AI LAB の自社ツール BoatData Collector Pro は、この記事の数字を数えた研究用データベースを作ったツールです。競艇の公開データを、期間と競艇場を選んでまとめて集める Windows 用のツールです。
- 出走表・展示/直前情報・結果・払戻を取得して、SQLite にためます。取得済みのデータは取り直さず、次からは続きから取得します
- Excel・CSV に書き出せます。払戻は、1行に1つの払戻の形で書き出せます
使う前の注意
- 予想・買い目・自動投票の機能はありません。集めて保存し、出力するところまでです
- 公式サイトや BOATRACE とは関係のない、非公式のツールです。データの正確性は保証していません
- 無料版があります。取得できる期間は直近30日までです。製品版は期間を自分で選べます(保存できるのは2016年10月1日以降のレース。2026年11月に実際に取得して確かめた範囲)
くわしくはBoatData Collector Pro 無料版のページと、BoatData Collector Pro のページにあります。
競艇のデータを、何か月分も自分で集めて数えるなら

BoatData Collector Pro は、競艇の公開データを期間と競艇場を選んで集め、Excel・CSV に書き出す自社ツールです。予想や買い目は出しません。保存できるのは2016年10月1日以降のレースです。
- BoatData Collector Pro:6,000円(買い切り・note。ココナラでも6,000円)
- 分析版 BOAT DATA PRO:10,000円(ココナラ)。集めたデータを進入コース別・選手別などに集計する画面つき
- 無料版:直近30日まで(LINEで受け取り)
価格は2026年11月7日の表示です。変わることがあるので、買う前に各ページで確かめてください。Windows 11(64bit)用です。
確かめたことと、データでは分からないこと
確かめたことは、次のとおりです。
- 数字はすべて、研究用データベースを読み取り専用で開いて数えました。2023年1月1日〜2026年9月27日の、3連単の払戻があったレースです
- 条件は数える前に計画に書き、あとから入れ替えていません。展示×風速の8マスは、1回目の計算のあとに図のために足したもので、判定には使っていません
- 万舟の数え方は、競艇の万舟とはと同じです
- 知恵袋の質問は、2026年11月6日に質問ページを開き、本文と一致することを確かめました
このデータでは分からないことは、次のとおりです。
- なぜその条件で万舟が増えるのか。この記事は数を数えただけです
- 級別・グレード・場・天候(雨)ごとの違い。場ごとは荒れる競艇場ランキングにあります
- 締切前のオッズとの関係。研究用データベースには締切前のオッズの記録がありません
- 式のエクセル・スプレッドシート本体での動き。1日分の CSV を Python で数えた値だけを確かめています(まだ確かめられていません)
- 風向(向かい風・追い風)との関係。この記事では数えていません(まだ確かめられていません)
数字はどれも過去のレースを数えたものです。どのレースが荒れるかを言い当てるものではなく、この先のレースの結果を約束するものでもありません。
まとめ
次にやることは3つです。
- 荒れそうかを考えるときは、全体の16.78%(約6レースに1回)を物差しにして、何ポイント上がる条件なのかで考える
- 風速5m以上・2〜4R・節の初日は、それぞれ全体より1ポイントほど荒れやすい側と見る(1Rは全体並み。展示が枠なりでなく風も強いと19.78%)
- よく行く場で何レース目が荒れるかを確かめたくなったら、無料版で直近30日の払戻を書き出し、COUNTIFS で数える
LAB 記録(読み飛ばしてかまいません)
- 分母は、3連単の払戻が NORMAL(通常の払戻)だったレース(207,583)です。同着で3連単の払戻が2つ以上あったレースは、大きいほうの払戻を使いました(競艇の万舟とはと同じ)
- 冒頭・見出し・まとめの「2〜4R」は、計画した帯(1〜4R)ではなく、荒れる競艇場ランキングの1Rごとの値で帯の中身を見たものです
- 前半(2023〜2024年)の全体は16.98%、後半(2025年〜2026年9月)の全体は16.54%です。前半・後半の差は、それぞれの期間の全体との差です
- 差と呼んだ条件の1つ目: 全体との差が1ポイント以上
- 2つ目: 95%の幅(正規近似 1.96×√(p(1−p)/n))が全体の16.78%を含まない
- 3つ目: 前半・後半とも同じ向き。なお、前半か後半の一方が1ポイントに届かない条件(初日・1〜4R)も、この決め方では差に入れています
- 風速は直前情報(締切前に出る値)です
- 展示の進入は、スタート展示のコースが6艇そろっているレースで判定しました。6艇そろわないレース(2,665)は、欠場などで艇が少ないレースが多く、万舟は9.01%でした。条件の比較には入れていません
- 節は、同じ場で日付が1日ずつ続く開催を1つにまとめて推定しました。中止や順延で日付が空いた節は2つに分かれます。期間の最初の日(2023年1月1日)と最後の日(2026年9月27日)にかかる節(1,204レース)は除きました
- 展示×風速の8マスは、1回目の計算のあとに足しました(計画の追記6)
- 式の確認に使った1日分の払戻 CSV は、競艇の出目ランキングの作業で BoatData のコマンドで書き出したもの(2026年8月24日・144レース)です
- 展示が枠なりでなかったレースのうち本番も枠なりでなかった84.21%は、3連単の払戻があるレースに限った値です。競艇のスタート展示の見方の値(残り84.22%)とは分母が違うため、0.01ポイントずれます

